子どもを利用したDV

子供を使って助長されるDVとは?

DVとは、ドメスティックバイオレンスの略称で配偶者やパートナーからの暴力を指します。
肉体的な暴力を振るうというイメージの強いDVですが、精神的なダメージを与えるDVもあり、その1つが子供を使って助長されるDVです。

子供を使った暴力と法的にもみなされる行為は、子供自身に暴力を振るったり、暴力を振るっているところを配偶者やパートナーに見せることで恐怖心を与えるというものなどです。
配偶者から子供を取り上げたり、悪口を吹き込むことによってマインドコントロールすることも子供を使ったDVとなります。

子供に危害を加えると言って相手を脅すことも子供を巻き込んだ非常に悪質なDVの一種と言えるでしょう。

子供が巻き込まれる危険性はとても高い

まだ記憶にも新しい2019年1月・千葉県野田市で起こった心愛ちゃん事件は、夫から妻へのDVが子供にうつってしまったとても悲しい事件です。
自分から子供にDVが移った時に自分が暴力の対象でなくなったことで、夫婦の一体感ができてしまったり、夫の愛情が元通りになったと脳が錯覚してしまい子供が亡くなるまでに暴力やネグレクトが悪化したと考えられます。

このような事件からも分かる通り、DVは決して夫婦だけの問題ではありません。
夫婦間のDVがいずれ子供を巻き込んでしまう可能性は、非常に高くあります。

被害者側の親をかばおうとして一緒に暴力を振るわれたり、より弱い者への連鎖として被害を受けている方の親から暴言を吐かれるなどし、心に深く傷が残っている子供が大勢います。
また、DVを目撃するだけでも実際に虐待された子供と同じような症状を表すことが研究で分かっています。

DV家庭で育った子供はどうなる?

DVを目撃したり、DVに巻き込まれる子供は児童虐待を受けたと定義されています。
家庭内での暴力を見ながら成長した子どもたちは、暴力を受けて育った子供達と似た影響が長期的に残ってしまうのです。

体の症状として、夜泣き・腹痛・頭痛・夜中に悪い夢を見て飛ぶように起きるといったことが考えられます。
また精神的にも大きな影響があるため、無気力・うつ状態・情緒不安定・親への憎しみなどが育ちます。
結果として、自傷行為や摂食障害に繋がってしまうことも少なくありません。

家庭の中に暴力があったことを「自分のせいだ」と考えてしまう傾向があるため、無力感や罪悪感を覚えながら育ちます。
その感情が、その子供自身の自尊心に大人になっても影響を残すことは珍しくありません。

子供は、大人や親としての役割を自分の親から学びます。
DVや虐待を受けた子供は、大人になったとき暴力と愛情の違いが分からなくなったり、人間関係やコミュニケーションで問題を抱えることが少なくありません。

子供は一番身近な人をロールモデルとして学習しながら成長するため、父親がDV加害者の家庭の場合、子供が男の子であれば将来DVの加害者に、女の子であればDVの被害者になりやすいというデータもあります。