妻から夫へのDV

妻から夫へのDVは年々増加

DVの被害者はいつの時代も女性だと思われてきましたが、最近は男性のDV被害者もますます増加しています。
とはいえ、男性がDVの被害者になることはまだあまり知られておらず、理解してもらえないことが多いのが現状です。

多くの男性は自分がDVの被害者であることに気づいていなかったり、DV被害を誰にも言えなかったりします。
とはいえ、妻のDVがひどければ離婚という選択肢もあり得るのです。

まず、妻からのDV被害に遭ったことのある夫はどのくらいの存在するのでしょうか。
妻からのDV被害に遭ったことがある人は、妻からのDVなんて耳にしたことがない、自分のケースはよほど特殊なのだろうなどと思うことが多いようです。

平成31年に警視庁が発表したデータによると、平成25年以降年々妻からのDV件数は増加していて、平成30年までの間に5倍にまで膨れ上がっています。
平成30年における妻が加害者となったケースの割合は20.6%でしたから、DV被害の全体のうち妻が加害者で夫が被害者となるケースが2割を超えているということです。

また先ほども少し触れたように、妻が加害者で夫が被害者というケースは通報されていないケースも多いので、そうした水面下で起きているケースも含めるとさらに男性が被害を受けるDVの全体数は増加すると考えられます。
このようなデータを見ても、夫や男性側がDVを受ける例は数多くあり、決して見逃すことはできません。
場合によっては、妻のDVが原因で離婚に至ることもあり得ます。

夫が被害者のDVでよくあるケース

妻が加害者であるケースの場合、身体的暴力よりも、心理的あるいは言葉による嫌がらせが多いようです。
また気をつけるべき点として、妻からのDVは夫が行うDVよりもはるかに度合いがひどくなる場合があります。

もし妻が被害者の場合は、身体的な暴力などで女性側がひどいケガをするなどで夫が我に返り、一時的に反省することがあります。
一方、女性が男性に対して行うDVでは、男性側がその状況を受け入れて我慢することで「反応がない」と思われて、女性がさらに暴力的になってしまうこともあります。
また男性側の意識として、妻の暴力で騒ぐ男性を親族や世間がどう見るだろうと恐れて、ひたすら妻の怒りが収まるのを待つという対応になることもあります。

ですがこのような状況が長引けば長引くほど耐えがたい苦しみになりますし、もし子どもがいるなら子どもへの悪影響も考慮しなければいけません。
家庭内でのDVは、取り返しの付かない状態まで悪化する前に適切な対処をすることが大切です。

夫がDVを受けたらどうするか

夫が被害者のケースではどうしても1人で悩んでしまうことが多いですが、DVがひどい場合には専門機関等に連絡を取り適切な助けを求めるようにしましょう。
もしDVの程度がそこまで深刻ではないとしても、さまざまな支援機関に相談することで今後の対応の参考にすることができます。