DV裁判で慰謝料を増額させる方法

お金が必要になるのは離婚前ではなく離婚“後”

DVが原因で離婚する場合、とにかく早く離婚したい、全て終わらせてしまいたいという気持ちの焦りから、財産分与や慰謝料の請求などを後回しにしてしまう方がいます。
しかし、一旦離婚してしまうと相手がどこにいるのか分からなくなったり、逃げられてしまう、時効になるといった理由で慰謝料が請求できなくなることがあるため、離婚の際に全て同時に済ませるのがベストとされています。

特に専業主婦の場合、お金が必要になるのは離婚前ではなく離婚後です。
もちろん離婚する時の年齢にもよりますが、多くのケースでは離婚した後の人生のほうが長いのですから、離婚後の人生設計を考えながら必要な慰謝料を請求することはとても大切なことです。
子供がいてその子をひとりで育てていく気持ちがあるなら、これから生活していくために必要な費用をあらかじめ確認しておきましょう。

慰謝料の増額と関係のある要素

慰謝料とは、簡単に言うと相手の行為によって受けた精神的な苦痛に支払われる賠償金のことです。
不倫や暴力などが原因の離婚であれば、その加害者が被害者に対して支払うお金となります。

実は被害者の計算方法に特別な決まりはないため、当事者で話し合い合意した顎が慰謝料となります。
DVが原因の離婚での慰謝料相場は50万円から300万円となっていますが、慰謝料の増減と関係のあるいくつかの要素を押さえておきましょう。

まずは、DVの回数や頻度の多さ、DVが続いた期間、DVによる被害の程度が大きく関係してきます。
DVの程度がひどればひどいほど、期間が長ければ長いほど慰謝料が高額になるということです。

DVに至った原因として、被害者に落ち度があるかどうかも考慮されます。
さらに結婚していた期間が長ければ長いほど慰謝料が高額になることが多く、経済的にまだ自立できていない子供がいるかどうか、いるとすれば何人いるかどうかも関係してきます。

実際の裁判事例を見てみよう

参考までに、DVが原因の離婚裁判事例を実際に見てみましょう。

まず、平成28年3月3日に判決の出た千葉家庭裁判所での事例です。
婚姻期間は平成3年からですから、裁判の判決に至るまでは、25年ほど婚姻期間が続いていたことになります。

DVは顔面の殴打、腕に噛み付くといった暴力が認められ、腕の内出血が証拠として挙げられました。
大腸ポリープや十二指腸潰瘍、うつ病も被害として取り上げられましたが、暴力との因果関係が認められることはありませんでした。
未成年の子供が2人いるという状況で、離婚慰謝料は200万円となりました。

大阪高裁平成12年に起きたケースでは、日常的に暴力を振るっていた夫に対して350万円の慰謝料が請求されました。
殴る蹴るなどの暴行を加え、一本背負いで投げ飛ばすなどの激しい暴力があり、被害者である妻は骨折やヘルニアの発症など運動障害が残りました。

このケースでは離婚慰謝料に加え、後遺障害の慰謝料なども認められています。