子どもを1人の人間として認められない
毒親と聞いて浮かぶ疑問の1つは、「毒親」と「普通の親」の違いは何かということです。
すべての親子関係が同じということはあり得ないわけで、どんな親子の間でも意見が違ったり言い争いが生じたりするのは避けられないでしょう。
とはいえ、そのような家庭のすべてが毒親という訳ではありません。
親が毒親かそうでないかを見分ける判断基準の1つは、毒親は子どもが1人の人間としての個性を持った別人格であることを理解していないという点です。
そのような親は、意識的であるかないかに関わりなく、子どもの人生を自分好みにコントロールしようとする傾向が見られます。
たとえば身体的・性的暴力を行う、言葉の暴力で子供に悪影響を与え恐怖心を植え付ける、子供の行動を監視し過干渉になる、子供を放置し注意を払わないなどのネグレクト行為、自分勝手な価値観の押し付けなどが含まれます。
このような毒親のもとで大きくなると、自分に自信が持てない、不安感が強い、イライラが抑えられない、他人に不信感を抱く、などの問題が発生しやすくなります。
親から褒められたり意見を認められたりということがないため、自分に自信が持てないことに加え、親が常に子どもの行動を監視して先回り的な行動をするため判断や決定を下すというプロセスを学べないまま成長してしまいます。
子どもはコンプレックス解消の手段?
では、そもそも毒親と呼ばれるような親になってしまう背景にはどのようなものがあるのでしょうか。
もちろん1人1人の背景によって様々な要因が考えられますが、共通する大きな要因には親自身も子ども時代に同じような育てられ方をしたことが挙げられます。
子どもが小さいときには、一般的に親を否定するということがありません。
つまり自分が生まれ育った環境がすべてなので、毒親であろうがなかろうが、その親の思考を良いか悪いかに関係なく取り入れてしまうのです。
そのような環境で育てば、よっぽど自分の意識が変化する出来事でもない限り自分も同じような子育てをするでしょうし、逆に意識的に親のようにはならないと心に決めると極端に反対に振れた子育てをしてしまいかねません。
また、両親がコンプレックスを抱えたまま大人になって家庭を持った場合にも、毒親になってしまう可能性があります。
そのコンプレックスが強ければ強いほど子育てでは後悔したくないと自分の価値観を子供に押し付けたり、本人の同意がないのに無理やり何かをさせたりという行動をしがちです。
例えば、自分が高卒なためにいい仕事につけなかったと思っている毒親は、進学校や塾に入ることを強要したり高等教育を受けさせようと子供に過剰な期待をしたりします。
これは親が人生経験で失敗したと思うコンプレックスによって引き起こされる悲劇で、価値観を押し付ける行為が子どもを追い詰めてしまうこともありえます。